部下には丸投げして育てる!!『任せるコツ』
部下に、同僚に仕事を頼むのは本当に難しいものです。
とにかく僕が気になるのは自分が楽したいからだけだろと思われていないかどうか。
そして、本書の帯にもある「自分でやった方が早い」となってしまうからです。
その帯にひかれて買ってみました。
とても実践的で、かつ、著者が本当にちゃんとこれを実践してきた方だというのが伝わってくる内容でした。おすすめできます。
『任せるコツ』の著者
著者は山本渉さん。
引きこもりを経験し、高校を中退後アメリカに留学。大学でマーケティングとエンターテインメントを学び卒業。帰国後、国内最大手マーケティング会社に入社。
プレイヤーとして結果を残し、30代でマネージャーに任命され数多くの失敗を経験する。チームメンバーの話をとにかく訊いて深く理解し、最後はメンバーを信じて完全に任せることでメンバーも組織全体も成長し活性化していく。現在はジェネラルマネージャー兼部長を束ねる統括ディレクターとして、小さなプロジェクトから100億円を超える大型案件まで、年間100近いプロジェクトをメンバーに依頼している。(本書カバーより)
Xをされてます。6万部突破とのこと。現在の書籍事情的には大ヒットです。
軽い気持ちで読みましたが、非常に実践的でためになる本です。
目次
パート1 ドラッカーが教えてくれない「丸投げ」の極意
第1章 「どう頼むか」にはコツがある
第2章 「誰に頼むか」ですべてが決まる
第3章 「丸投げ」の前後にあるもの
第4章 時代に合った任せ方
第5章 それでも「任せられない人」に
パート2 任せて伸ばす「丸受け」できる人材の育て方
第6章 育成の真髄
第7章 任せる技術は褒める技術
第8章 モチベーションの上げ方「4+1」
第9章 任せて最高の成果を出すために
こんな人が読むべき
- 任せることができない人
- 丸投げに否定的な印象を持っている人
- 依頼の仕方を知りたい人
- 部下との関係に悩んでいる人
- チームビルディングに悩んでいる人
- 丸投げのメリットを知りたい人
本書は『任せるコツ』ですが、全体を通していうといいリーダーになるためにはどうしたらいいかということが著されている印象です。
本書はリーダーは陰で支え、存在さえ忘れられるぐらいがちょうどいいという話のあと、老子の言葉で締められています。
”大上は下これあるを知るのみ。その次は親しみてこれを誉む。その次はこれを畏る。その下はこれを侮る”
(もっとも理想的なリーダーは部下から存在すら意識されない。それより劣るのは部下から尊敬される人。さらに劣るのは部下から恐れられている人。最低なのは部下からバカにされているリーダーだ)
P264
丸投げのメリットデメリット
丸投げのメリット
・成長を促すことができる
・主体性が高まり自分で考えて動くようになる
・モチベーションが上がる
・個の成長の積み重ねで組織全体を強化することができる
・丸投げした側に時間ができて、マネジメント業務に集中できる(P126)丸投げのデメリット
P128
・結果が読みにくい
・失敗する可能性が高くなる
・時間がかかる
・クオリティーが下がる
・「丸投げ」した側は無責任と思われる
・過労などメンバーの健康被害が起きる
デメリットはあるものの、長期的にみるとメリットがデメリットをカバーするとのことです。私が実際に働いていて思うデメリットは上記の中では時間がかかることくらいでしょうか。
『任せるコツ』を読んでのアクション
丸投げの方法として、実践的な依頼の仕方、メンバーを知ること、断り方など多くのことが著されていてすべてとても参考になりました。
著者は正しい丸投げはこの成長を促し、組織強化につながるといいます。
まずは正しい丸投げは悪いことではないと肝に銘じておきましょう。
同じことを伝えるにしても、情報の順番で大きく左右する(P19)
任せるコツ 第一章より
まずは受け入れやすい情報からスタートして、心を開いてみることが大切です。(P20)
「自分のことを覚えててくれている」「よく理解してくれている」ということは、お互いの「好意」として捉えられ、依頼を受け入れやすくします。(P33)
ごめん、悪いけど、といいながら頼んでしまわないように注意です。
また優秀なリーダーはチームが無駄な作業や、過労につながる仕事を減らす努力をしているという話があり、そこにあった断り方もさんこうになります。
丸投げは長期的にはメリットが多いが、中途半端な丸投げはやる気を削ぐ一番やってはいけないことということも覚えておきたいです。
主体性を奪われ、成長は止まり、指示待ち人間ができてしまうということです。
また、丸投げは社内のみということも忘れてはいけません。
『任せるコツ』の特徴
本書の特徴としてはとにかく現場感覚がすごく伝わるということです。
いいこと書いてあるけれど、実際現場で使えるかな、と思うビジネス書はとても多いですが、本書は今日から使えるものが多いのが特徴です。
ただ、少し偉人の名言や~の法則系が多すぎるかなという気もしました。
もちろん偉人の名言は素晴らしく、面白い~法則系もあって、調べたくはなりましたが。
ちなみに最後の項目のタイトルは『最後は、愛。ギブ&ギブ』です。
素敵です。
部下を持つすべてのビジネスマンにおすすめできる書籍となっています。
引用
日々マネジメント業務をしていて実感するのは、「間違った丸投げ」が横行していることと、相手のことを考えた「正しい丸投げ」は個の成長を促し、組織全体の幸せにつながるということです。(P4)
「正しい丸投げ」は、じつは時代にマッチした技になる、と断言できます。(P7)
ビジネスは究極の団体競技(P52)
面談では「重要度は高いけど緊急ではない」ことを聞く(P66)
「失敗しても大丈夫と思える環境を用意する」ということが、マネジメントの最大の責務となります。(P152)
メンバーに対して、してあげられることの一番身近な行為は「褒める」ことです。(P179)
究極、最後は”愛”なんだと思います。(P261)